固体電解質のイオン伝導性に関する研究
酸化物中のイオンの拡散挙動を理解することは、単に固体電解質特性を向上するためだけではなく、センサーやデミキシングのような固体イオニクス材料の設計、セラミックスの固相反応・焼結の理解など様々な分野に適用が可能である。このような広い分野横断的な材料を扱うために、交流インピーダンス法によるイオン導電性測定や結晶構造の精密解析などの基礎的研究成果を着実に積み重ねていくことで理解を深めている。
★研究例 ペロブスカイト型リチウムイオン導電性酸化物
リチウムイオン導電性酸化物として、もっとも高いイオン導電性を示すペロブスカイト型酸化物材料のイオン導電性を結晶構造解析の観点から研究している。たとえば、一般には格子サイズが大きくなればイオン導電性も高くなると考えられるが、時としてそのような傾向に一致しない材料も存在する。このような特異な挙動を示す材料の局所構造をEXAFSで調べその相関を調べた。また、イオン導電率の温度依存性は一般にはアレニウス則に従うが、特に相転移など無くても高温部でアレニウス直線に屈曲が観測されるケースが存在する。このような現象についても中性子回折測定で検討などを行っている。最近では実験だけではなく計算化学によるアプローチも併用して研究を展開している(参考文献2002-1, 2002-2, 2004)